InPhocus Stories『光の墓』中川剛志 | InPhocus

2020/09/01 21:19

オーロラはあの世とこの世を繋ぐ光であると、北極圏では言い伝えられている。 22歳の時に父を亡くした私は、父の魂を探すため、そしてその死後から頭と心の中をぐるぐる回り続けている「なぜ私たちは生まれ、なぜ死ぬのか」という問いを抱えて、アイスランドの旅を始めた。


長年に渡る旅は常に過酷な天候に見舞われた。壊滅的な吹雪によって地元住民はもとより観光客もその命を奪われ、日照 不足から人々は精神的なダメージを受けていた。この状況が私の行く手を阻み、予定を中断せざるを得ない日もあり、また命の危険を感じることもあった。しかしこのような極限の環境下に身を置いたことで、父の魂を探す旅から始まったものが、いつの間にか自分自身の内なる探求へと変わっていった。


アイスランドでは引き寄せられるかのように墓を数多く訪れた。そこには魅力される何かがあり、安らぐ大地があった。私はオーロラの光は死者の魂でもあると解釈し、極寒の夜空の下、光のポートレートを一枚一枚丁寧に撮影した。 



展示会場には私の年齢と同じ枚数のオーロラの写真が墓のように置いている。毎年一枚ずつ増えるこの作品は、私が死んでオーロラの光となるときに完成する。